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JAFの趣味なページ

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F/A-18E/Fスーパーホーネット


F/A-18F着艦

F/A-18E・・・そう、それは管理人が最も愛し、かつ世界で一番美しいと信じてやまない戦闘機・・・
知り合いからF/A-18Eの模型貰ったのをきっかけに作りました。
なおこれは「M.A.S.D.F.」様のページを一部改装したものですが、MASDF管理人様の承諾もいただきましたし、なにより私JAF(MASDFでのHNは「かわ」です)が執筆したものですので平にご容赦を。


本機はアメリカ海軍の主力となっていたF/A-18A/B/C/Dを改修し、さらに強力な攻撃能力を付加した艦上戦闘攻撃機です。現在米海軍の主力戦闘機として、F-14からの機種転換が進められており(A-6からの機種転換は既に完了)、将来的にはF/A-18Cをも代替する予定です。
F/A-18A/B/C/Dは、それまでF-4・A-7など用途によって違う機体がそれぞれ運用されていたのを統合し、整備・補給等の煩雑化を抑止して限られた空母内のスペースを有効活用するとともに、様々なミッションに1機種で対応可能なことからより柔軟な作戦活動を可能にすることを狙って海軍で採用された機体です。各ミッションに特化された機体ほどの能力はもちろんありませんが、1機種であらゆるミッションを遂行可能ということは大幅な効率向上に繋がったことは間違いありません。

【開発経緯】
1983年に海兵隊で初めて実働飛行隊が編成されて以来、F/A-18の狙いは見事に成功し、それまでの機体を追い出してアメリカ海軍・海兵隊の主力となっていたF/A-18A~D(現在はC/D型)でしたが、その一方で「航続距離が足りない」「ペイロードも足りない」という評価もありました。事実2001年のアフガニスタン攻撃などでは航続距離の不足から奥地への攻撃は対地攻撃可能なように改修されたF-14に任せなければならず、航続距離不足は深刻な問題だったということは想像に難しくありません。
これらの問題に対して1987年にマグダネル・ダグラス社(現ボーイング社)は、主に欧州各国向けではあったもののF/A-18Cの胴体を延長し、主翼と尾翼を大型化した「ホーネット2000」を計画しました。しかし欧州諸国はこの計画に関心を示さず、単なる計画として生涯を終えようとしていました。
ところが1991年、A-6の後継として決定し、開発も進められていたA-12がコスト増大・成長性への疑問や開発の遅延からキャンセルされ、このホーネット2000が脚光を浴びるようになりました。1992年5月、米海軍はホーネット2000をベースにしたF/A-18発展型の購入を発表、これをF/A-18E/Fスーパーホーネットとしてマクダネルダグラスに対してEMD(技術・製造・開発)段階に入ることを承認し、飛行試験用に単座型(1人乗り)5機と複座型(2人乗り)2機の生産も同時に承認しました。


1993年6月13日から17日にかけて詳細設計審査が執り行われ、経費・技術・整備性・信頼性・開発日程など要求された全てが目標を達成しているのが確認され、量産が承認されました。
1995年9月19日にF/A-18E1号機がセントルイスの工場で完成し、同11月29日に初飛行しました。1999年11月28日に実働部隊に配備され、空母航空団(空母に搭載される艦載機の部隊)には2002年7月31日にCVN-72「アブラハム・リンカーン」のCVW-14隷下として配備されました。現在マグダネルダグラスはボーイングに吸収されていますが、F/A-18E/Fの作業は引き続きセントルイスで行われています。


【機体】
まずF/A-18C/Dの最大の弱点とされていた航続距離不足を解消するため、機体の大型化・ひいては燃料タンクの容量増加が行われています。全長で1m強、全幅で2m強、主翼面積では約11平方メートル大きくなっておりストレーキも1.8平方メートル拡大されました。また尾翼は垂直尾翼が面積を約15%、方向舵が面積が約54%増加・作動範囲も40度へと大きくなり、全遊動式の水平尾翼は約36%の面積増大となっています。特に水平尾翼拡大はストレーキの拡大とあいまって40度以上の迎え角でも機動を行うことができるようになっています。大型化は自重が増えることもあって機動性(機敏に動く性能)の低下を招いてしまうのが普通なのですが、翼面積を増大させたことによってなんとかF/A-18C/D並みの機動性は確保しています。ただし低速でのポストストール機動(失速してしまった後の機動)は向上しました。
これらによって単純に燃料搭載量だけを比較すると38%増えており、エンジンの高出力化による若干の燃費悪化を差し引いても航続距離は30%増加と問題は大幅に改善されています。ただしそれでもF-14等に比べるとやや短く、F/A-18の根本的な弱点を覆すとはいかなかったようです。
また主翼の面積増大にともなってハードポイント(ミサイルや爆弾を取り付ける場所)が両翼に1ヶ所ずつ、合計2箇所増設され(合計11ヶ所)、その分ペイロード(搭載できる爆弾やミサイルの重量)も増加し、その問題も改善されました。他に主翼には折りたたみ部付近にドッグツース(切りかき)を新設、胴体上部のエアブレーキを廃止した代わりにストレーキ上面にエアブレーキ兼用のスポイラー(主翼上面にある動翼の1つ)を増設しています。

エンジンの強化(F404からF414に換装されてアフターバーナー時に78.3kNから97.9kNになった)、や主脚の強化などの改良も施され、最大離陸重量(離陸できる限界の重量)・最大着艦重量(空母に着艦できる限界の重量)はそれぞれ約30%ずつ増加し、離陸重量の増加はそのまま航続距離・ペイロードの増加を表していて、着艦重量の増加は不要な爆弾の投棄や余分な燃料の放出を最小限に抑えられることになります。
しかし加速性はF/A-18C/Dよりも劣り、最高速度については本来戦場で出せるようなものではないのでM1.8という数字はさほど問題ではないのですが、AIM-9×4、AIM-120×2、440ガロンタンク、ATFLIR、燃料75%でアフターバーナー(一度エンジン内で燃焼させた空気をさらにもう一度燃焼させる仕組。推力は約1.5倍になりますが、燃費が激しく悪くなります)を点火すると3,5000ftでマッハ1.1と、他の戦闘機に比べてかなり遅いのは否めません。
外見上の違いとしては機体が大型になったのはもちろんだが、ストレーキの形状変更、ドッグツースの有無、インテークの半円形から平行四辺形への変更(ステルス性向上や吸気の量の改善のため)が分かりやすいです。


F/A-18C/D同様「池の切手に着陸するようなもの」「コントロールされた墜落」とまで言われ以前から難しいとされていた着艦を、自動操縦で着艦が可能です。また水平尾翼の片方が損傷しても、自動的に水平状態を保てるシステムが追加されています。
しかしF/A-18E/Fの特長は、その兵装バリエーションの豊富さにあります。F/A-18E/Fはアメリカ海軍の保有する全ての現役ミサイル・爆弾が搭載可能であるといって過言ではありません。具体的に挙げた例は下のスペックシート参照のこと。
機種部にM61A1バルカン砲が固定武装として搭載されているのは、携行弾数は減少しているもののF/A-18Cから変更されていません。
なお兵装搭載中の機動は空中分解などを避けるために、重量42097ポンド以下なら7.5G~-3.0Gまで、最大離陸重量66,000ポンドでは4.8G~-1.9Gまでしか旋回できないようにリミッターが制限をかけるようになっています。
またアメリカ海軍は本来のマルチロールの任務以外にも空中給油・偵察といった任務も行っていて、これらには基本的にF/A-18Fが従事しています。偵察機としての使用はTARPS(戦術航空偵察ポッドシステム)装備のF-14に代わるもので、この任務用に現在開発中なのが分割偵察ポッド(SHARP)です。電子工学センサーと赤外線センサーを搭載して中高度及び高高度からの完全デジタル偵察を可能にすると発表されています。SHARPによる偵察情報はその場で乗員が知ることができるほかに、データリンクを使用することによってほぼリアルタイムで地上局(もしくは艦船)に送信されます。
F/A-18C(右)に空中給油を実施するF/A-18E

【アビオニクス】
操縦系統はF/A-18C/Dと同様にフライバイワイヤを採用しているが、それに加えてスロットルレバーの動きを電気信号に変換して推力を調整し、どのような飛行状態であってもエンジンの正常な作動を維持するFADECシステムを採用している。コクピットはHUDの搭載はもちろんですが、ヘルメットに情報を表示するJHMCS(どの方向を向いていても情報を見られる)を採用しておりAIM-9Xの運用も可能となっています。
コクピット全体もディスプレイがさらに大型化・液晶化され、燃料の表示も変更されました。これまではHUDの下にはアップフロント・コントロール(UFC)が取り付けられていましたがE/F型はアップフロント・コントロール/表示ユニット(UFC/DU)が搭載されました。これは4×5inの単色液晶表示装置に表示され、タッチセンサーによる操作で無線周波数切り替え・航法経由点の選択/設定などがより簡単になり操作の手順も簡略化されました。UFC/DUの下と計器板左右には合計3基の5×5inのフルカラー液晶の多目的表示装置(MFD)がついています。これらによって兵装状況・システム情報・航法情報・移動地形地図などの様々な情報をパイロットの選択によって表示可能となっています。
電子機器類は現在(2005年1月)の状態では、F/A-18C/D後期型とさほど変わりありません。またソフトウェア面も今後順次アップデートされ急激に減るとは思われますが、現在90%がF/A-18C/Dと共通しているとされています。詳細はスペックシート参照。

開発当初の予定ではF/A-18E/F生産に伴って新型のレーダーの生産を行い、そのレーダーを装備するはずでしたが開発の遅れから未だ実現されておらず、それまでの代用としてAN/APG-73が搭載されています。これを新型レーダーAN/APG-79ASEAに換装した場合には次のような利点があるとされています。
・探知距離の拡大(発表によると2~3倍)
・AN/APG-73の約2倍の同時追跡能力保持
・合成開口レーダー機能によって長距離の高解像度レーダー画像を提供可能
・インターリーブ機能保持
・機体のRCSの最適化
・対電子戦機能保持
・アンテナの整備性大幅向上(発表によれば10年~20年は整備不要)
発表どおりの性能があるかどうかは怪しいにしても、従来のレーダーに比べて格段に能力が向上するのは疑いないようです。なおこれを搭載した機体はブロック2と呼ばれ、同時に光ファイバーを使用したデータネットワークの装備などの改良が行われることになっています。
またボーイング社はF/A-18E/Fが第一線機である間に・赤外線捜索・追跡システム(IRST) ・先進技術兵器 ・先進電子戦システム ・地形参照航法機能付属デジタル地図コンピューター ・先進ミッションコンピューター ・統合IFFトランスポンダーといった最新鋭の電子機器を導入し更新する予定であり、またこの導入にはなんら問題点は無いとしています。これらの改修をなんの問題も無く容易に行うことができるのもF/A-18E/Fの強みの一つと言えます。


本機はF/A-18C/Dの発展型である以上、機体の基本的な性質に変わりはなく、マルチロールとしていかなる任務にも柔軟に対応することが主任務といえます。
大型化してもなお航続距離不足とも言われていますが、たとえそれを差し引いてもF/A-18E/Fは現在求められているマルチロールの一つの完成形と言っても過言ではなく、また性能面だけでなくソフトウェアや電子機器更新が比較的簡単にかつ迅速に行えることも大きな強みです。


また電子戦機(電波妨害などを担当する機体)型であるEA-18Gグラウラーの開発が現在進行中で、既に2001年11月15日に初飛行しています。現行のEA-6Bの代替となると予想されます。EA-18GはECMポッドを搭載して電子戦を行いますが、従来のEA-6Bと違いAIM-120などの中距離空対空ミサイルを自衛用として装備可能・飛行速度が速いため攻撃部隊への随伴が容易・迅速な展開が可能、といった利点があります。ただし、EA-6Bが四座なのに対しEA-18Gは複座で電子戦士官が少ないため、相対的な電子戦能力は低下するものと思われます。
標準的装備はAN/ALQ-99ECMポッド3基と440ガロンタンク2本、それにHARM対レーダーミサイルを2本搭載ですが、このHARMをAIM-120に、同様にさらに電子戦ポッド2本に変えることなども可能です。
EA-18G


*性能諸元
名称:F/A-18E
製造:マグダネル・ダグラス(現ボーイング)
主任務:制空・攻撃
全長:18.38m
全幅:13.62m(折り畳み時9.94m)
全高:4.88m
主翼面積:46.45平方メートル
乾燥重量:14,009kg
最大離陸重量:29,932kg
最大搭載量:約8t
燃料搭載量:6780kg(機内)+7430kg(機外)
最高速度:M1.8
実用上昇高度:15,240m
戦闘行動半径:390nm(対地攻撃任務 1000lb爆弾×4・AIM-9×2・480ガロンタンク×2・FLIR×2hi-lo-lo-hi飛行)
660nm(対地攻撃任務 1000lb爆弾×4・AIM-9×2・480ガロンタンク×3・FLIR×2hi-hi-hi飛行)
410nm(護衛任務 AIM-9×2・AIM-120×2)、
665nm(阻止攻撃任務 1000lb爆弾×4・AIM-120×2・AIM-9×2・480ガロンタンク×3)
戦闘航続時間:2時間15分(AAM×6・480ガロンタンク×3・空母から150nm進出した状態)
エンジン:ジェネラル・エレクトロニック社製 F414-GE-400(A/B時 97.9kN)
初飛行:1995年9月19日
乗員:エビエーター1名
生産数:548機(予定)

搭載可能兵器
固定兵装空対空兵装空対地兵装アビオニクス類
M61A1バルカン砲AIM-120AAGM-65EAN/APG-73レーダー性能向上型
AIM-120BAGM-65FAN/ASQ-173レーザー探知追跡装置
AIM-7FAGM-65GAN/AAR-50感熱画像航法セット(TINS)
AIM-7MAGM-84AAN/AAS-38B前方赤外線暗視装置(FLIR 目標指示も兼任)
AIM-7MHAGM-84HGPS付属AN/ASN-139リングレーザージャイロ慣性航法装置
AIM-9LAGM-88HARMAN/ARN-118戦術航空航法装置(TACAN)
AIM-9MAGM-123AN/ALE-47チャフフレアディスペンサー(120発搭載)
AIM-9XAGM-62(AWW-13装備時)AN/ALE-50曳航デコイ
AGM-154AAN/ALQ-165空中自己防御妨害装置(ASPJ)
AGM-154CAN/ALR-67レーダー警戒受信機(RWR)
AGM-158JASSMAN/AAR-57共通ミサイル警報装置(CMWS)
GBU-12Dレーザー誘導爆弾
GBU-16Bレーザー誘導爆弾
GBU-24Aレーザー誘導爆弾
GBU-24Bレーザー誘導爆弾
GBU-29GPS誘導爆弾
GBU-30GPS誘導爆弾
GBU-31GPS誘導爆弾
Mk82通常爆弾
Mk83通常爆弾
Mk84通常爆弾
Mk82R遅延落下爆弾
Mk82SE遅延落下爆弾
Mk84R遅延落下爆弾
Mk20クラスター爆弾
CBU-59Bクラスター爆弾
CBU-103/Bクラスター爆弾
Mk77ナパーム弾
CBU-72気化爆弾
LAU-10ロケット
LAU-68ロケット
MK60機雷
Mk65機雷
ADM-141空中発射デコイ


これらの兵装は全11ヶ所の兵装ステーションに取り付けられます。搭載可能な兵装のうち代表的なものと搭載可能なステーションを纏めると以下のようになっています。


兵装搭載図表
ステーションナンバー11011
AIM-9○○○○   ○○○○
AIM-120 ○○○○ ○○○○ 
AIM-7   
AGM-84       
AGM-62       
AWW-13          
AGM-65     
AGM-88     
AGM-123       
GBU-12D     
GBU-24     
Mk.82 ○○○○  ○○○○ 
Mk.77 ○○○○ ○○ ○○○○ 
Mk.60       
LAU-10 ○○○○   ○○○○ 
JSOW       
ADM-141 ○○○○ ○○ ○○○○ 
480ガロンタンク      

AGM-62とAWW-13は必ず同時搭載



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